図 1 図 2 図 3
脳の話の第1回です。面白そうな基本的知識をご紹介します。図 1
<この文字を読めますか?(図1) >答えはエジプト文字の「脳」です。紀元前1700年の書物に始めて登場しています。その当時は、脳は重要な器官とは考えられていませんでした。ギリシャの哲学者アリストテレスは「知能と思考」は脳ではなく心臓の機能と考えていましたし、古代エジプトではミイラを作る際、他臓器は保存したにもかかわらず、脳は鼻から抜き取り捨てていました。その後、脳こそが知能と思考の源であることが明らかとなりました。
<脳の形態(図2)> これが脳の外観です。乳白色でいわゆる脳のしわが目立ち凸凹しています。脳のしわは脳の進化とともに発達し、脳の表面が織り込まれることでできます。その結果、脳表面積は大きくなり新聞紙1枚分に相当します。哺乳動物の中で進化の程度が低いラットでは脳のしわが少ないそうです。人では頭の良し悪しには無関係で、みんな同じです。硬さは弾力性があり指で押すと少し凹み離すと戻ってきます。お豆腐の柔らかさというよりはマシュマロの柔らかさでしょうか。重さは成人で1300~1400g、体重の2%を占めるに過ぎません。新生児では350~400gでチンパンジーより軽いのです。ちなみに哺乳類で最も大きな脳はくじらで 9000g、最も小さな脳はラットで2gです。脳/体重比は、脳機能とは無関係です(人2%、くじら0.03%、さる1%、小鳥8%)。脳重と才能との相関関係は難しい問題ですが、いわゆる傑出人の脳は一般の平均値より重い傾向にあります。しかし、すぐれた業績を残した人でも平均値より軽いことがあります。
<神経細胞(図2)> 脳は神経細胞と神経膠細胞からなっています。神経細胞の数140億個、神経膠細胞はその10~50倍ありますがその数により頭のよさが決まるわけではありません。神経細胞の数が140億個といわれれてもピンときませんのでわかりやすくしましょう。1秒に1個づつ数えると、なんと3000年位かかってしまいます。1個づつ並べていくと1000Kmに達します。いかに多くあるかがわかります。これら多数の神経細胞どうしが連絡し合い複雑な情報網を作っているわけで、この回路が頭のよさに関係します。神経細胞の形・その伝達方式は特殊です。その伝達方法は、他の細胞と異なり興奮が電流によって伝わります。その伝達スピードは時速1.8Km~432Kmで、神経線維の太さにより異なります。最速の神経は筋肉の運動に関係するもので、400Km超ですから新幹線より速いこととなります。ちなみに、歩行は時速4Km、オリンピック100mランナーは36Km、新幹線は300Km、飛行機が320Kmです。
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